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当個体は縦置き使用でした。 |
当時の仕様書によると、60×200×250mm (幅×奥行×高さ)と表示されていますが、 前衛・後継・類似モデルとも同じ形状であれば同じサイズと思われます。
前面パネルと側面カバー(横置きの時は上部)が鏡面仕上げ(ピアノブラック)になっているため、一見するとバソコンには見えず、上質な調度品のようです。
特筆すべきは、小さい筺体にもかかわらず、前面の小扉を開けるとマルチタイプのカードリーダー, 背面にはDVI端子に加えHDMI端子を備えていることです。
それでは、この超コンパクト, フル装備のパソコンが、何ゆえ機嫌を損ねているのか検証
してみましょう。
HDD診断ソフトを導入してみると、HDDの温度が異常に高く、回復不能のセクターが二ケ見つかりました。
右は、上部カバーと前面パネルを外した状態ですが、掴手のついた弁当箱のような部分を持ち上げ取り外してみましょう。
取り外した箱の中には、HDDと、スロットインタイプの光学ドライブが横並びに一体収納されています。
左はパソコン内の空気の流れです。背面に付いている二ケのファンで内部の空気を吸い出し(内圧を下げ)上と底のメッシュから新鮮な空気を取り込む仕組みです。
このパソコンには、大きな熱源の一つである電源部が本体内に無く、電源はACアダプターから供給されます。
パソコン内で最も大きい熱源であるCPUには、ヒートパイプで結ばれた二層構造の特大ヒートシンクを装備しています。
以上を総合的に判断すると、上部と底部から必要で十分な量の空気が供給されているならば、
パソコン内の温度上昇は抑えられる筈です。
左は清掃後の底部です。清掃する前は、多量の塵埃がフェルト状になってメッシュに貼り付き完全に目詰まりしていました。
不調の一次原因は、このメッシュの目詰まりによって底部から空気が取り込めなくなった空冷システムの機能不全です。
その後の使用経過と共に、底の空気取り入れ口に近く、自身も熱源であるHDDに悪影響を及ぼしたと考えられます。
メッシュ清掃で正常に動作するようになりましたが、 不安が残るHDDを交換する他、以下、性能アップを図ります。
①HDDは、 リカバリーディスクを作成してからSATA300(320Gb)に交換 します。
②CPUを、1コアのAthlon64 3800+から2コアのAthlon64X2 5000+BEに換装します。
③メモリーを、1Gbから(1Gb+2Gb)合計3Gbに増強します。
さて、名医のベスト処方後の性能を見てみましょう。
エクスペリエンスインデックスを見てみるとCPUの一秒当たりの計算がスコア5.1 を示しており、一般家庭用途としては十分な性能です。
尚、底部のメッシュには目が届きにくいところですが、天のメッシュを含め定期メンテナンスは必須(※)です。
※注; メッシュが目詰まりするとパソコンの内圧が異常に下がる為、スロットイン口からも塵埃を吸い込み光学ドライブが故障する可能性が高くなります。(当個体は、メディアを出し入れする度にベゼル付近に滞留した塵埃がドライブ内へ侵入したようで、時々モーターが回転しないために分解清掃が必要でした)
HDMI端子は、パソコンの製造時期によってはブルーレイが再生できないものもありますが、本機は、USB接続のブルーレイ光学ドライブが問題なく使えます。 また、USB接続の地上デジタルチューナーを使えば、地上デジタル放送がフルHD画質で視聴でき録画/ムーブすることも可能です。
【2013/01/28追記】
オーナーから、室温が23℃を超えている時に画像処理などの重たい仕事をさせるとファンの回転音が大きくなると連絡を受けました。診断の結果、CPUの使用率が50%付近からコア温度が上昇するため、連れて冷却用ファンの回転数が上がり騒音につながることが判りました。(故障ではありません)
夏場は冷房したとしても23℃以下ということはありませんので、CPUをAthlon64 X2 5000+BE(TDP 65W)からAthlon64 X2 4850e(TDP 45W)に再交換しました。クロックは(2.6GHzから)2.5GHzへ僅かにダウンしますが、スコアは5.1を維持したまま静粛なパソコンへと変貌しました。
⇒このような超コンパクトパソコンを性能アップする際はTDPの低いCPUを選ぶのがセオリーですが、 他の選択肢として、TDPが65Wでもクロックが2.8GHzのAthlon 64 X2 5400+もしくは64 X2 5600+を使えば(応分にCPU使用率が下がり)更なる性能アップと静粛性の改善につながるのではないかと予想しています。
【2013/03/14追記】
【2013/01/28追記】 を見たオーナーから「2.8GHzのCPUに替えてみたい」と要望を受けていた為、気にかけていた3月の或る日、たまたま訪れたU-FRONTでTDP65WのAthlon 64 X2 5400+を手に入れることができました。
フルHDのディスプレイを使用しテストしています。 |
CPUの一秒当たりの計算がスコア5.3を示しており、静粛かつスムースに動作します。
HDDの大容量化は地上デジタル放送を録り溜めするのに有効です。
【総括】
本機はコンパクトサイズに徹した構造のためグラフィックスの拡張性は望めませんが、それ以外の性能アップについては思った以上の成果が期待できる優れものです。
①搭載できるメモリーの容量は仕様では最大2Gbですが、実使用では3Gbまで認識します。
1Gb+2Gbの組み合わせで使用します。2Gb+2Gbの組み合わせではパソコンが起動しなくなります。
②BIOSをUpdateすればSocket AM2+及びSocket AM3のCPUも使用可能になる筈ですが、現状、Acer が公開しているBIOS Update menuが機能せず、安全にUpdateする方法がありません。
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