十朱幸代さんが出演されたテレビドラマは数多あります。その中にカメラファンには忘れられない一本が、2002年に日本テレビ系で放映された松本清張原作の「事故」です。
ストーリーは交通事故に見せかけた事件もので、十朱幸代さんは私立探偵事務所の所長という役柄から、望遠レンズを装着したカメラを携行し探査・撮影している場面が頻繁に登場します。
これは、小道具として使用されたカメラCANON製EOS55です。1995年に発売され2000年まで販売された、ミドルクラスのフィルム式オートフォーカス一眼レフです。
ドラマは、このカメラの販売終了から2年後に放映されていますので、採用機材として適切なタイミングだったのでしょう。
特筆すべきは、番組スタッフは明らかに十朱さんを意識し、ブラックではなく額から肩と首にかけパール色のクロームに覆われたボディを選んだと思われることです。
このパール色のカメラは白日の太陽光の下でも夜の淡い光の中でも美しい女探偵所長と良くマッチし、所長の行く先々で物語の展開に重要な役割を担いました。
このカメラには多くのダイヤルやレバーが付いていますが、これにより基本機能の設定ポジションが一目瞭然でした。
また、オートフォーカス操作時に視線入力によるピント合わせができ、レンズ内の超音波モーターが高速かつ無音で動作するなど、高度な技術を搭載していました。
ところで、これもCANON製でEOS55と重なった時期に販売され、しかも額から肩と首にかけ銀色に覆われていました。
このカメラでは駄目だったのでしょうか。
このカメラは、爆発的ヒットとなったEOS Kissの三代目半に当たり、軽くてコンパ
クトで取り回しは楽です。
答えはNOです。EOS55との格の違いは歴然であり探偵所長の使う道具には相応しくありません。
EOS55は、現時点ではクラシックカメラの範疇には入りませんが、ドラマの中でキラリと光る存在感を見せつけてくれた姿に愛着を感じ今も手許に置いています。
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