これは、十年ほど前、日光いろは坂へ紅葉見物に出掛けた際の帰り道、東武日光駅近くの観光みやげ物店へ立ち寄った際に、お店の片隅のガラスショーケース内に飾ってあったカメラの中の一台です。
店員さんの話では、みやげ物店へ置くのは相応しくないと思うが、店主の道楽で月に一度か二度、東京や横浜へ出掛け勝手に仕入れて来るので扱っているとのことでした。
当初はレンズ付ライカM3だと思い値札の二十万円は妥当かなと手に取って良く見ると、Aires35ⅢCと刻印があり価格も二万円を見間違えたことに気がつきました。
全く知らないメーカーのカメラではあるが丸味を帯びた上品なデザインで、ボディに傷や打痕は無くレンズやファインダーにも汚れやカビが見当たらないことより連れて帰ることにしました。
帰宅後、調べてみると東京都豊島区高田南町に存在していたアイレス写真機製作所から1958年に発売
されたカメラで、メーカーは工場の火災が因で1960年に無くなっていることが判りました。
右は、金属製の専用フードケースを装着して真上から見たものです。
ほぼ平らな面に、フィルム巻き上げレバー、シャッターボタン、アクセサリーシュー、巻き戻しクランクが配置されています。
レンズ部を含め何れのメッキ処理も秀逸で、製造後五十三年も経った今も輝きを失っていないのは驚き
です。
左は背面と底蓋です。
底蓋を外してから裏蓋を開ける構造は、LeicaM3と似て異なるものですが、ライカを意識したものであることは否めません。
このカメラはライカに良く似ていますが、心地よい手触りや精巧かつ緻密な仕上がり、静かで上品なシャッター音などは単にライカを模したのではなく、ライカを超えたカメラを目指したのではないでしょうか。
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