2013年9月16日月曜日

日本初の「ダムESCO事業」発電所へ行ってみた。

栃木県営寺山ダムの施設を省エネ化するダムESCO(エスコ)事業による水力発電が9月11日に始まりましたので、早速、現地を訪ねてみました。同事業は県の委託を受けた民間事業者が水力発電設備を設置しダムの放流を活用して発電、電力会社へ売電する他、ダム施設の空調や照明などの電気設備へ無償配電するものです。この、ダムESCO(エスコ)事業は全国で初めてだそうです。

《画像はクリックすると拡大します》
 
先ずは、空から見た寺山ダムの姿(※)です。
(※)註;
Google earthより抜粋。

緑の山間に囲まれ、ひょうたんのような形をした人造湖です。

矢板市街から北北東へ車で約20分程度の 極く近場に立地しています。


ダムの説明の前に、ひょうたんの頭部を先に案内しましょう。

これは 高原山を源流とする宮川です。上流に登ると栃木県民の森が広がっています。                            

ここから下流、ダムの方へ下っていきます。




宮川の先に、ひょうたんの形をした寺山ダムが見えています。

道路に駐車している車は山から湧き出る水を汲みに来ている人たちです。

3.11大震災の時は、飲み水を求めて押し寄せた大量の車で大渋滞だったそうです。



奥側から見たダムは、周りが緑に包まれているため湖面の色も神秘的な緑色に染まっています。

数珠繋ぎになっているブイは計2本あり、湖水を浄化する為の装置を 吊り下げているのだそうです。

この浄化装置が、ダムの設備の中で最も電力を消費するそうです。


ダムの突端、堰側です。向こうに見えているのはダムの管理事務所です。

今の貯水率は30%前後ではないでしょうか。最も水面が高くなるのは田植を前にした3月から4月頃だそうです。

満水時には、堰(堤)の、今は白く見えているい部分の最上位まで水面が上がるそうです。

堰の裏側(いや、表側か?)は、こんな構造になっています。

石切り場で砕いた石を積み上げた構造で、ロックフィルダムと言うそうです。

近くに岩盤(石切り場)があったため、コストが安くて頑丈な、この方式になったようです。



さて、いよいよ本題の水力発電所です。

眼下に見えるサイコロのような四角い建物が発電所です。(既存の建物内に発電機を設置)

この小さな発電所で、売電用電力とダムで使用する電力を賄うシステムだそうです。



最後に、この発電所を下から見上げてみました。

放流されている水量からすると、余り大きな出力ではない(※)ようです。

県の出費は皆無のようで省エネと言うよりも経費削減策ではないでしょうか。

発電所の右に見える滑り台のような構造物は水位調整用の放流口です。

(※)註;
一般住宅の、およそ170戸分に相当する電力を供給できるそうです。


このダムは、治水、灌漑用水、上水道用水を目的に造られたダムですが、今回、水力発電が加わり文字通りの多目的ダムになりました。 また、ダムや周辺の管理が行き届いており散策にも適しています。